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驚きの展開があるディストピア小説。椎名誠著「埠頭三角暗闇市場」をレビュー。ネタバレなし。

皆さん、こんにちは。 

椎名誠の埠頭三角暗闇市場を読みました。

最近、椎名誠のディストピアに結構ハマってます。

 

 

 

作品紹介

あらすじ

他国の地盤崩壊作戦によりトーキョーは壊滅した。

埠頭三角暗闇市場には、この壊滅を生き延びた様々な人々や、異体進化した動物が住み着いている。

主人公はこの埠頭三角暗闇市場を見下ろすビルの一室に住む北山。

彼は、常軌を逸した様々な施術をすることで有名な医師。

怪しい施術を求めて、彼のもとには色々な客がやってくる。

 

概要

ジャンルはディストピア・ポストアポカリプス系です。

「アド・バード」「水域」「武装島田倉庫」に続く系譜の作品ですね。

 繋がりはありませんが、雰囲気はとても似ています。

 

また、主人公らしき人物はいますが、登場人物は複数いて、群像劇といった感じです。

 

 

この小説のここが良い

主人公は一応、北山という医師です。

この北山の手術はどれも常軌を逸していて、信じられないものばかりです。

この北山と、彼の手術、そしてその患者達が中心になって物語は進んで行きます。

 

この北山は三角暗闇市場のビルの一角に住んでいて、ここでメチャメチャな手術をするんですが、この埠頭三角暗闇市場の成り立ちの設定からして、とんでもありません。

というか、手術や三角暗闇市場の設定だけでなく、小説全部がとんでもないメチャメチャな話です。

でも、このメチャメチャな話とメチャメチャな世界観が不思議とマッチしてどんどん読み進めちゃいます。

 

ただ、もちろん緻密なところもあります。

最初にあった事件が思わぬ結果で解決したり、ずっと続いている謎が伏線となって、しっかりと回収されたり、メチャメチャでありながらも、かなり計算されているところもあります。

 

あと、登場するキャラクターもメチャメチャなんですが、どれも魅力的です。 

この、主人公の北山自身がマッドサイエンティスト的な医師であったり、悪徳警官や、北山に恐ろしい手術を望む蠱惑的な美女も登場します。

さらには、異体進化した様々な生物もいて、バリエーションも豊富で飽きることがありません。

 

ちなみに椎名誠のSF小説には、異体進化した生物が数多く登場します。

武装島田倉庫やアドバードでは、危険な生物という役割が多かったですが、この小説では今までとは違った、それも重要な役割が与えられているので、そこにも注目です。

 

物語がクライマックスに向かうにつれて、この登場キャラクターがこれでもかとお互いに色々な関わり方をしますが、その様子は圧巻です。

 

 

この小説のここが悪い

オチがすさまじいです。

まさか、こんなオチになるとは思いませんでした。

なんかクライマックスに向かうにつれて、物語がどんどん飛躍していき、最終的にとんでもないことになります。

 

ちょっと笑っちゃうというか、呆れるというか…。

個人的にこのオチは全然ありというか、大歓迎でしたが、ちょっとどうかなと思う人もいると思います。

 

 

この小説のおすすめ度

★★★★☆

星4つです。

個人的には武装島田倉庫の方が好きですが、かなりこの小説もおススメ出来ます。

 

三角暗闇市場を中心に巻き起こる、予想のつかない群像劇。

気になる方は読んでみてください。