ゾンビとの全面戦争です。マックス・ブルックス著「WORLD WAR Z」をレビュー。ネタバレなし。
皆さん、こんにちは。
マックス・ブルックスの、「WORLD WAR Z」を読みました。
ブラッド・ピットが主演していた映画が有名ですが、原作はこちらの小説です。
作品紹介
あらすじ
全世界を恐怖に陥れた、ゾンビウィルス。
長い戦いの末、人類はどうにかこのウィルスに打ち勝つことが出来たが、そこには数々の犠牲があった。
国連がまとめた報告書から、真実が見えてくる…。
概要
ゾンビ小説です。
ゾンビパニックを生き残った人々の後日談。それを国連が報告書、レポートとしてまとめたという設定の物語です。
たくさんのレポートからなるオムニバス形式で物語は進んで行きます。
それぞれのレポートに直接的な繋がりはありませんが、間接的な繋がりはあるので、その1つ1つのレポートから、全体の様相を見るという読み方になります。
ちなみに映画になったのがこちらです。
また、作者は筋金入りのゾンビ研究者みたいな人でこんなのも書いてます。
ゾンビから身を守るための、サバイバルガイドです。
存在しないものから、身を守るすべを考える…。愛すべき変態だと思います。
この小説のここが良い
人類がゾンビに勝ったあとの話ですから、一応のハッピーエンドの結末がわかってる状態です。
これから世界はどうなってしまうのか。
ではなく、どうやってゾンビから世界を守ったのかという歴史を読む感覚ですかね。
この設定がなかなかおもしろいと思います。
そして、結末がわかっていると、どうしても緊張感に欠けるかなと思ったりもしましたが、全然そんなことありませんでした。
なにしろ、とても細かい描写で、ゾンビとの戦いを描いています。
そして、そのゾンビとの闘いは、それぞれ同じものが1つもありません。
様々な立場の人々の、それぞれの戦い。
そして、その戦いを経て生き残った人々に残されたものは一体何なのか。
1つ1つとても丁寧に書かれています。
なかでも、大量のゾンビから逃れる為に、少数の一般市民を犠牲にして、大勢の一般市民を救い出す作戦を指揮した、軍事アナリストの話があるんですが、それがなんとも監悲しいですね。
この、軍事アナリストは鉄の心を持っている、むしろ冷血人間とまで言われてるんですが、話を読んでいくうちに…。
ある意味では、この人も犠牲者なんだとわかる描写を読んだときには、結構せつなくなりました。
作中、ゾンビとの戦いは戦争と呼ばれていますが、読み手側としても本当にあった戦争の体験談を読んでいるかと思うぐらい、具体的な話がたくさん描かれています。
どうしても、B級っぽさがつきまとうゾンビという媒体で、これほど緊張感を出せるのは、すごいです。
この小説のここが悪い
かなり驚きましたが、映画と原作は全く別物です。
同じところのほうが少ないと言っても過言ではありません。
共通しているのは、国連の調査員が見た世界各地のゾンビ、みたいなアイデアだけと言ってもいいぐらい。
ちなみに私は映画が先で、小説が後でした。
事前に原作と映画は違うという情報は仕入れていましたが、それでも結構驚きましたが、結果的にはどちらも好きな作品です。
映画と原作の違いに拒絶反応が出る人もいるかもしれませんし、どちらも全く違う作品として楽しめれば、2度おいしいみたいなことも言えるかも…。
この小説のおすすめ度
★★★★☆
星4つでおススメ出来ます。
注意点ですが、映画を観て楽しかったから原作を読もうという人は、それ相応の覚悟をして読んでください。
ゾンビとの地球規模の戦いに、人類はどのようにして打ち勝ったのか。
気になる方、読んでみてください。