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地中から出たいけど出れない…。小説の「WOOL」をレビュー。ネタバレなし。

みなさん、こんにちは。

今回はディストピア系小説の「WOOL」を紹介したいと思います。

海外小説で作者はヒューハウイーというアメリカ人の方です。

 

 

 

 

 

作品紹介

あらすじ

舞台は、荒廃した地球。

人類は地下144階建てのサイロと呼ばれる地下建造物で、限りある資源を再利用しながら暮らしています。

外の世界は汚染されており、サイロの住人はカフェテリアのスクリーンの映像からのみ、外の様子を伺うことが出来ます。

ただ、このスクリーンに映すためのレンズを磨く「清掃」の時には、例外的に外の世界へ行くことを認められています。

しかし、汚染された外の世界での「清掃」は死を意味しており、生きて戻った人はいません。

主人公のジュリエットは腕利きの機械工。

ジュリエットは外の世界には秘密があると考えます。

その秘密を暴くための唯一の手段は、死を意味する「清掃」に赴くことでした。

 

概要

ポストアポカリプス系の小説ですね。

上下2巻と、大ボリュームです。

 

ちなみに、この作品はネット上にアップされ、そこからアングラで人気が出たようです。

ちなみに作者はもともと、小説家ではありませんでしたが、この作品をきっかけに小説家に専業したようです。

なんだか夢のある話ですね。

 

 

 

この小説の見どころ

圧倒的で緻密な独自の世界観が見どころです。

地球が荒廃するという設定はありきたりですが、144階建ての地下建造物のサイロという設定は、かなり独自のモノを感じます。

しかも、この独自の設定がただの面白いアイデアという範疇から抜け出してて、とてもリアル。

その理由は、それぞれ仕事や生活があり、また秩序や法律があることが、事細かに描写されているからでしょう。

サイロのなかは、地下ということも住人には常に閉塞感が付きまといますが、この閉塞感が読者にも伝わってくるようです。

そして、この閉塞感は外の世界の「清掃」へのカタストロフィに繋がっています。

 

 

この小説のここが残念

ちょっと展開の遅さに困るかもしれません。

海外小説を読んでいると、たまに思うのが展開の遅さ。 

日本の小説は、エンタメ系なんか特に、展開が早くて、盛り上がるところも随所にあったりしますが、海外小説って前置きや伏線がめちゃめちゃ長かったりします。

このWOOLもそうで、かなりのページ数を使って、前置きや伏線を作っていって、あまり話の展開もありません。

最後の最後に一気に物語が動き出す、みたいな感じです。

その分感動は大きいかもしれませんが、正直読みづらさも否めません。

 

 

この小説のおススメ度

★★★☆☆

星3つといったところでしょうか。

 

SF・ディストピア・ポストアポカリプス・世紀末ものが好きな方にはおススメ出来ます。

ちなみに、この作品は後に「SIFT」、「DUST」と続く三部作なので、ファンになれば長く楽しめるのもオススメです。