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ほのぼの系ポストアポカリプス。伊坂幸太郎著「終末のフール」をレビュー。ネタバレなし。

皆さんこんにちは。

伊坂幸太郎さんの「終末のフール」を読みました。

ほのぼのとした、ある意味リアルなポストアポカリプス系の小説でした。 

 

 

 

作品紹介

あらすじ

舞台は、8年後に小惑星が衝突し、滅亡が約束された地球です。

その事実が公表されてから5年が過ぎた現在、当時の混乱は収まり、人々は希望のない中にも平穏を見出しつつあります。

ここ、日本の仙台にある団地「ヒルズタウン」でも、人々は今までの日常と変わらないような生活を送り続けていました。

 

概要

ポストアポカリプス系小説です。

物語はヒルズタウンに住む人々の短編集といった感じですが、また短編集でありながらも、登場人物などが交錯したりします。

オムニバス、群像劇って感じですかね。

 

 

この小説の見どころ

ポストアポカリプスの世界観にもかかわらず、どこかほのぼのとした世界が見どころです。 

普通のポストアポカリプス系だと、この世界でどう生きていくかっていう感じになっていくので、あくまでも生きるために葛藤する感じです。

生きるためなら何でもするっていう世界観になるのが一般的です。

この小説は、どんなに喚こうが小惑星で滅亡が決まっている世界なので、生きるための葛藤はあまりありません。

また、地球滅亡が決まり時間が経った後なので、すでに争いは静まり、人々の混乱も小康状態になっています。

だからこそ、ポストアポカリプスなのに何となく優しい、ほのぼのとした世界になっています。

 

また、終末を約束された人々の、残された時間の生き方も見どころです。

個人に焦点を絞れば、人はいつか亡くなってしまいます。

小惑星の衝突があろうとなかろうと、亡くなってしまいます。

しかし、人はいつか亡くなってしまうということをなかなか実感出来ません。

時間は有限だということを実感できません。

でも小惑星が落ちることで、初めて実感できるんですね。

なんかあまりにも突拍子もない設定ですが、現実の人間もこれぐらい強烈なことがないと、時間は有限だということは実感できないかもしれません。

小惑星がぶつかることで、初めて自分が亡くなってしまうことを意識し、時間を意識する人々。

そのなかには、破滅へ向かってしまったり、破滅してしまった世界を再構築しようしたり、様々な人間がいます。

人々が、残された時間をどう生きるかっていうところが見どころです。

 

 

この小説のここが残念

全体的にちょっと歯ごたえがありません。

ディストピア・ポストアポカリプス系と言えば、殺伐とした雰囲気というのが大事だと思いますが、この小説からはあまり感じられません。 

カジュアルな感じが魅力でもあるので難しいところですので、一長一短ですね。

 

 

この小説のおすすめ度

★★★☆☆

星3つって感じです。

終末モノの入門にはとても良いと思います。

初心者におすすめです。

 

また、普通に短編が好きという方にもおすすめできます。